DXリスキリング助成金でAI研修費の3/4を助成|東京都・令和8年度

公開日:
最終更新日:

都内の中小企業が従業員にAI研修を受けさせるとき、受講料の負担を直接軽くできるのが東京都のDXリスキリング助成金です。実施しているのは公益財団法人東京しごと財団で、令和8年度も交付申請の受付が続いています。

この記事では令和8年度の募集要項をもとに、AI研修に使う場合の助成額と自己負担、対象になる研修と受講者の条件、申請から入金までの期限を順に確認します。要件は年度ごとに変わるため、申請前に必ず最新の募集要項を確認してください。

DXリスキリング助成金はAI研修に使えるのか

使えます。DXリスキリング助成金は、都内の中小企業等が従業員に自社のDX推進のための研修を受けさせたときの受講料等を助成する制度で、AI活用やデータ活用の研修も、DX推進に必要な知識・技能の習得を目的としていれば候補になります。

募集要項が対象としているのは「申請企業等のDX推進のために必要な知識・技能の習得・向上を目的とする研修又は専門的な資格を取得するための研修」です。次のようなテーマは、自社のどの業務をどう変えるための研修かを説明できれば候補になります。

  • 生成AIの業務活用(文書作成、問い合わせ対応、資料作成の効率化など)
  • データ分析・データ活用
  • 業務システムや自動化ツールの活用
  • DX推進に必要な専門資格の取得

名称の似た「DX実践人材リスキリング支援事業」は、東京都が実施する別の事業です。こちらは研修費を助成するのではなく、都内中小企業へ60時間の学習カリキュラムを無料で提供する仕組みで、申請先も募集の枠組みも異なります。

受講料の助成を受けたい場合は、東京しごと財団が窓口のDXリスキリング助成金が対象の制度です。東京都で使える制度を横断で見たい場合は東京都×AI研修の補助金一覧も参考になります。

助成額と自己負担はいくらになるか

助成額は対象経費の4分の3で、上限は受講者1人1研修あたり75,000円、1企業あたり令和8年度で100万円です。消費税は対象経費に含められないため、税抜10万円・税込11万円の研修なら助成見込額は75,000円、自己負担は35,000円が目安になります。

  • 助成率:助成対象経費の4分の3
  • 1人1研修あたりの上限:75,000円
  • 1申請企業等あたりの上限:令和8年度で100万円
  • 上限額に達するまで複数回の申請が可能

助成対象になるのは、受講者1人1研修単位で金額を算出できる経費に限られます。対象になるのは次の費用です。

  • 受講料
  • 教科書・教材代
  • 研修に付随する登録料・管理料
  • ヒアリング料と会場費(オーダーメイド研修のみ)

反対に、次の費用は対象外です。研修費の支払いでポイントが付いた場合、そのポイント分も対象から外れます。

  • パソコン・オンライン機器類などの購入費
  • インターネット回線使用料、通信料
  • 食事代、交通費、宿泊費
  • 消費税
  • 振込手数料、送料

支払方法にも条件があります。助成対象経費は申請企業等の口座から金融機関の振込で支払う必要があり、従業員個人が立て替えた費用は対象になりません。

上の計算は単純化した目安であり、交付決定額や確定額を保証するものではありません。実際の助成額は実績報告後の審査を経て確定します。

申請できるのは都内の中小企業等

申請できるのは、都内に本社または主たる事業所があり、業種ごとの資本金・従業員数の基準を満たす中小企業等・個人事業主です。基準は資本金の額または常時使用する従業員数のいずれか一方を満たせば足ります。

  • 小売業・飲食業:資本金5,000万円以下、または従業員50人以下
  • サービス業:資本金5,000万円以下、または従業員100人以下
  • 卸売業:資本金1億円以下、または従業員100人以下
  • その他の業種:資本金3億円以下、または従業員300人以下

都内所在の要件は登記や届出で判断され、都内で営業実態がなく法人都民税が免除されている場合は申請できません。法人は都内に本店または支店の登記があるか都税事務所へ事業開始等申告書を提出済みの事業所があること、個人事業主は都内の税務署へ開業届を提出していることが必要です。

このほか、みなし大企業でないこと、過去5年間に重大な法令違反等がないこと、最低賃金・36協定・時間外労働の上限規制など労働関係法令を満たしていることも要件になります。これらは申請日から実績報告日までの期間を通じて満たしている必要があります。

対象になるAI研修と対象外になる研修

対象になるのは、自社のDX推進に必要な知識・技能の習得を目的とし、1研修の総研修時間が3時間以上10時間未満で、教育機関が実施するレディメイド研修またはオーダーメイド研修です。定額制(サブスクリプション形式)の研修や、交付決定前に始めた研修は対象になりません。

  • レディメイド研修:教育機関が計画した既存の公開研修で、受講案内と受講料がホームページ等で一般に公開されているもの。集合研修、同時かつ双方向のオンライン研修、eラーニングのいずれでも可
  • オーダーメイド研修:自社の従業員向けに計画して教育機関へ委託する研修。集合研修(同時かつ双方向のオンライン研修を含む)に限られる

自社の従業員だけを対象に計画された研修は公開研修に当たらないため、レディメイド研修としては申請できません。オーダーメイド研修ではeラーニングが使えないので、生成AI研修を自社向けにカスタマイズする場合は形式選びに直結します。

次のような研修は対象外です。

  • 定額制(サブスクリプション形式)で提供される研修
  • 趣味・教養を身につけることが目的のもの
  • 経営方針や自社商品の説明など、通常業務に付随する内容
  • 経営理念の浸透や意識改革など、技能・知識の習得を目的としないもの
  • 見学会・研究会など研修とみなせないもの
  • 講習を受けなくても単独で受験して取得できる資格試験
  • 法令で実施が義務付けられている教育
  • 申請企業と資本関係等のある教育機関が実施する研修
  • 交付決定前に実施されるもの

時間の条件は実務上いちばん引っかかりやすい点です。eラーニングの場合は標準学習時間数が3時間以上10時間未満であること、集合研修を複数日程に分ける場合は1回あたり30分以上であることが条件になります。

また、研修は業務命令として労働時間内に実施し、所定の賃金を支払う必要があります。経費の全額を申請企業等が負担することも要件で、受講料の一部を従業員に負担させると対象外です。

受講できるのは都内勤務の従業員

助成対象になるのは、常時勤務する事業所が都内にある申請企業等の従業員で、総研修時間の8割以上を受講した人です。代表者と個人事業主本人は対象外で、役員は雇用保険に加入している場合だけ従業員として扱われます。

  • 申請企業等の従業員であること(代表者・個人事業主本人は該当しない)
  • 常時勤務する事業所の所在地が都内であること
  • 研修ごとに総研修時間数の8割以上を受講すること
  • 過去の申請で同様の研修を受けていないこと

受講状況は自己申告では足りず、教育機関の証明が必要です。レディメイド研修では総研修時間の8割以上を受講したことが分かる受講証明書等を、オーダーメイド研修では研修実施報告書を提出します。

研修日程が書かれているだけの書類は受講証明書の代用になりません。発行できるかどうかは教育機関によって異なるため、交付申請の前に確認しておきます。

申請から入金までのスケジュールと期限

交付申請は研修開始予定日の1か月前までに行い、交付決定を受けてから研修を開始し、研修最終日から2か月以内に実績報告します。交付申請書の受付期間は令和8年3月1日から令和9年2月28日までですが、予算の範囲を超えた場合は期間内でも受付が終了することがあります。

1か月前の数え方には注意が必要です。募集要項の例では、開始予定日が10月18日なら提出期限は9月18日、開始予定日が10月31日なら1か月前の末日である9月30日が期限になります。

  1. 研修内容・受講者・見積もりを決め、教育機関に受講証明の発行可否を確認する
  2. 研修開始予定日の1か月前までに交付申請書を提出する
  3. 審査を経て交付決定通知を受ける
  4. 交付決定後に研修を開始する(計画を変更する場合は変更申請)
  5. 研修最終日から2か月以内に実績報告書を提出する
  6. 審査後に額の確定通知を受け、口座振替依頼を提出して入金を受ける

研修の実施期間も決まっており、令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始し、令和9年8月31日までに終了する研修が対象です。年度末に近い研修ほど申請期限が先に来るため、逆算して教育機関と日程を詰めます。

申請はデジタル庁が運営するJグランツからの電子申請が基本で、利用できない場合は追跡可能な方法での郵送も認められています。JグランツにはGビズIDが必要で、発行に時間がかかるため、研修日程を決めた段階で取得に着手しておくと安全です。

人材開発支援助成金との使い分け

1研修3時間以上10時間未満の短時間のAI研修は本制度、10時間以上の訓練は人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)という切り分けが基本です。同じ研修について国または地方公共団体から助成を受けている場合、本制度の対象にはなりません。

人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースは、実訓練時間数が10時間以上であることを要件とする厚生労働省の制度で、雇用保険適用事業主が対象です。訓練開始前に計画届を提出する必要があり、eラーニングや通信制では標準学習時間が10時間以上であることなどが求められます。

  • 半日で終わる生成AI研修を全社へ広げたい:東京都DXリスキリング助成金
  • 数か月かけて職種ごとのリスキリングを進めたい:人材開発支援助成金
  • いずれの制度も、交付決定や計画届の前に研修を始めると対象外になる

制度の詳細は人材開発支援助成金の制度ページ、AI研修で使う場合の条件と研修会社の選び方はAI研修の助成金と研修会社の選び方で確認できます。費用の試算は補助金シミュレーター、申請の相談はAI研修・導入支援の相談から進めてください。

2026年9月1日に東京しごと財団の令和8年度DXリスキリング助成金 募集要項で確認しました。提出書類や様式は更新されることがあるため、申請時は最新の募集要項を優先してください。